社会

真剣に考えたい水道の民営化

最近、海外で起こっていることが日本に重なることが多くなっている感じがします。フランスで高速道路の民営化か始まろうとしています。(再びフランスですみません。)財政とインフラ維持の両立が難しいという理由です。

高速の民営化ほどもうかるものはないと言われているそうです。なくてはならないものだからです。高速道路は人々の移動、物資の輸送のための、国の大動脈となるものです。日本と同様、国民の日常にとって不可欠なものです。

民営化に反対する人々は、高速が民営化されれば、道路維持のためだからという口実で、いくらでも料金を値上げすることが可能で、毎年、なにがしらの理屈をつけて上がり続けていくだろうと言います。

経営が民間企業にシフトすれば、企業は最大限に自分たちの利益を生み出そうとするでしょう。そして巨大な運営会社となり、それなりの権力を持つ巨大組織として膨らんでいくのではと想像します。

そのため、民営化しても一定以上の利益を出してはならないという法律をもうけるべきだという意見があります。

さて、ブラジルで鉱山ダムが決壊し、350人余りの死者、行方不明者を出しているそうです。鉱物の採掘には莫大な量の水を使用します。採掘のために化学薬品が使用された水は、有毒な汚染水となります。

そういったダムがブラジルには沢山あり、その近くには住民の命の源となる川が流れています。大雨でも降りダムが決壊すれば、汚染水が町を飲み込んだり、川を汚染し、水が使えなくなる可能性があります。そのためそういった地方一帯の住民は、水源は大丈夫かと、毎日心配しながら生活しているそうです。

この命の存続にとってかけがえのない水が、民間の経済活動によって脅かされているのです。

水はあらゆる命の存続にとって不可欠なものです。水は天からの授かり物、本来、地球の住民全てが無料で使用すべき自然のめぐみ、それが母なる地球の想いです。

ですから水の売買という行為自体が地球の意思とは反する行為なのですが、現在の社会システムの中で便利な水道システムを維持していくためには、誰でもアクセスできる料金はやむを得ないのかもしれません。

さて、日本ではその水道事業を民営化しようとしています。水道を民営化すれば、道路の民営化で心配されるような事があってもおかしくありません。

岩手県で水道事業が民間に移譲されたところがあったようですが、そこでは水道料金が恐ろしく急騰し、追加料金を払わなければ水道を止めると、恫喝まがいな問題が起こったそうです。

国民の命、幸福、安全、健康を守るのが国の仕事です。本来国民から取り立てた税金はそういった国民の生活を守るために使われるはずです。水道のインフラが老朽化すれば、新しくし、命の水を守るのが国の仕事です。

そういった国民生活を守るために向けられるべきお金が、どれほど国民の利益に全く関係ないところに使われているのでしょう?一機147億円するような戦闘機F35をアメリカから100機追加購入するとか聞いたことがありますが、国民は戦闘機を食べたり飲んだりして生きていくことはできません。

私たちも毎日の生活に不可欠な水を、営利を目的とする民間企業の手に任せればどうなるのか、どんな可能性があるのか、手遅れにならないうちに真剣に考えるべきではないでしょうか。

今まで3000円だった水道料金が、3万円払わなければ停止するぞというような事態になってからでは遅いのです。民間企業でも良心があるだろうと、人の性善説を期待するのは、もはや時代遅れのように思います。