日常

黄色いベスト運動は他国事?PART1

フランスでは11月半ば頃から黄色いベスト運動(黄色いベストを着用した政府に対する抗議運動)が大きく話題になっていました。

黄色いベストとは路上で作業する人が使用するベストで、今回の抗議運動においては一般労働者のシンボル的な意味があるようです。黄色いベストを着衣した沢山の人々が国に抗議するために、道路を封鎖したり、仕事をボイコットしました。

この抗議運動により多くの人々は、通勤など日常生活に多くの支障を強いられたにも関わらず、当初80%ほどの国民が支持したようです。燃料税の増税が発端となったこの運動は瞬く間に人々の間に広がりを見せていきました。

サルコジ大統領、オーランド大統領政権下で、フランスでは国民に対する税負担が軒並みに増し、特にマクロン大統領の時代に入り、法人税を33%から25%へ減税、富裕税の廃止など「持っているサイド」を優遇する一方、低所得層向け住宅補助削減、企業が解雇しやすいようにする労働法改正、社会保障増税など「持たないサイド」への負担強化など、国民はこれ以上が耐えられないような状況になっていたと言われます。

「月収700ユーロの内、家賃に500ユーロ、どうやって生活するのか、私たちだって人間らしく生きたい!」「月末の支払いができない、これ以上我々にどうしろって言うんだ!」と庶民の声です。

しかし、平和な抗議運動として始まった黄色いベスト運動は、最近一部がエスカレートし暴動と化していきました。「安全な方法では政府は動かない」「我々だって好きでこんなことをしているんではない!我々のことを見て欲しいんだ」

暴徒化するようになってから日本でもやっとニュースなどで取り上げられるようになったようですが、理性をコントロールできなくなった人々のグループを見ても物事の本質は見えてこないと思います。

抗議運動には沢山の労働者、学生、弁護士、主婦、農家、様々な人が立ち上がりました。マクロン政権は、人々の立ち上がりを前にして、燃料の増税を半年延長することにしましたが、それでも抗議運動に変化はありませんでした。

「フランスの未来を背負う子供たちのため」「自分たちの生きる権利を取り戻すために立ち上がるんだ」とデモ参加者は真剣な目をしてレポーターに訴えています。「お金がなくてパリに行けないから、私は地元で戦う」と言う人々もいました。

11月11日、マクロン政権の支持率が急降下する中、経済、政治的危機に立たされたマクロン大統領は、自らの謝罪をした後、国民の一部の不満に答えるために、いくつかの政策を打ち出したようです。しかし、黄色いベスト運動はここで収束するわけでもなさそうです。

ここから見えてくるものが沢山あるように感じます。

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